15 [ケータイ]

 警視庁には超能力のような勘を有するパトロール部隊が存在する。豊島区に本拠を置き,西池袋や歌舞伎町の細い裏道を見回る,第二自動車警ら隊だ。そして,深川署からは二自らと共に裏道の隅まで覗き見る,遊撃特別警ら隊だ。
 これらの職務質問の達人たちは,しばしば治安の悪い麻布署や新宿署や渋谷署に異動になり,職務質問の網の目を細かくこす役割を担う事になる。

 自ら隊は岐阜県警も愛知県警も所轄署の地域課の機動警ら班や,機動警ら課の入って行かない住宅街や,雑然とした何気無い繁華街の一画もどんどん分け入っていく。こうした技術は,瞬間的な洞察力と,積極的に職務質問で停めに上がる行動がかなめだ。
 警視庁の第二自動車警ら隊と,遊撃特別警ら隊は,職質の技術屋の警察官が特に多い。後身を育てたり,首都圏の初動体勢を柔軟で躍動的にするために地域指導や大規模な所轄署に異動になる事もある。以前,痴話喧嘩から偽通報によって誘拐事案が神奈川県内で起きたときは,関東の近隣県でも配備された事もあったが,異なる県警同士が同じ被疑者に付いて情報を共有し,力を合わせて逮捕に当たる事は技術的に難しかった。近年では大きく前進したことは,特に取り上げられるべきだろう。

 新宿地内を見回っていると,ビルとビルの間の路地の通行人を見咎めた。助手席の警部補が降り立って小走りに呼び停めた。
 「ごめん。昔,シャブやってた?」
 警部補は親しげに話し掛けた。
 「5年前,大宮でね」男はこなれた答え方をした。
 「よく言われる?」警部補は尋ねた。
 「ええ。さっきもそこのファミマのとこでね」
 「うちだった?新宿のかな」
 「ううん。深川の」
 「あーはいはい。5号かね」
 「そう。知り合いっすか?」
 「片っぽはさ,同僚だったんだ」
 二自らのパトカーの運転手が合流した。笑いながら話し掛けてきた。
 「あら。御客さん,けろっとしてるじゃんよ」
 「アリバイ上げるじゃ無いけどさ,免許訊いてもいい?」
 男は長財布から自動車運転免許を取り出して警部補に差し出した。
 「なんだ御客さん,あんたいい人だな。なんかばつ悪くなっちゃうから返すよ」警部補は受け取った手を差し戻した。
 「だって俺もこんな顔だからよ,しょうがないって分かってるんだ」
 「あんたほんとにいい人だ。うちの中隊の連中もやり易いと思います。ありがとうございます。ほんとに」
 「それはいいんすけど,今照会厳しいって聞くけど,御巡りさんたちいいのかい?」
 二自らの二人は笑った。
 「最近はばんかけより敵は会社って言ってね。うちはまだ昔みたいだよ。そんじゃ有り難う御座いました。佐藤さん,また協力お願いします。私,新宿の礼司四郎と言いますんで。またよろしくー」

 そうして二自らの二人のパトロールは続いていくのだった。

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