13タイムスリップお巡りさん [ケータイ]

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 自ら隊は警らする時,全国的に走行速度が抑えられている。法定速度いっぱいに加速する事は,まずしない。
 地方の本部の自ら隊は警視庁や大阪府警に技術伝授されているので,自ら隊は全国で平均的な能力が高いのだ。だから,岐阜県警が劣るとか富山県警が見劣りするなど自ら隊の能力には優劣は付けられない。
 職質から手配犯や,違法行為者の摘発を主にやる自ら隊は,初動が重要だ。自ら隊にとって最大の懸案は自ら隊がパトカーから検索する事だ。つまりパトカーは被疑者を追い詰める時に頼りにされるが,走行速度は歩行より速く,異変を見落としやすい。
 自ら隊が懸案として抱くのだから,夜中や早朝のまだ夜明け前などは,積極的な防犯走行に従事する。
 夜中の自ら隊は,急停止,急減速を繰り返すが,速度を抑える為に見付け出す爲だ。実際,歩行者や自転車の利用者を呼び止める時に低速走行は効果てき面だ。

 ところで最近,世代交代のタイミングも絡んで警視庁の自ら隊の検挙能力が下がって居た。元より忍込巡査部長は若手が職質が積極的に出来ない状態を懸念したから,平成元年からわざわざタイムスリップして来たのだった。

 今日は第一自動車警ら隊だ。第一自動車警ら隊は,中央本隊と蒲田中隊と玉川中隊で構成され,管内には皇居,官庁,大使館を抱え,第一方面本部の管轄も受け持つ。管轄範囲はそう広く無いが,前線部隊の代表だ。

 「警視182から警視庁。」
 「警視182,どうぞ。」
 「了解。万世橋管内,若い男の職質マル援該当。神田須田町一丁目のシェル付近,中央通り17号,どうぞ。」
 注意喚起音が鳴り響いた。
 「警視庁からマル援指令ー。万世橋管内,千代田区神田須田町一丁目5番付近,中央通り,警視182が職質困難中。直近,警視175,遊撃5,地域指導4,現在,PSから現場緊急方向。臨場隊傍受の後,万世橋,警視庁宛て願いたい。PC,どうぞ。」

 忍込がマイクを受け取った。
 「警視175,現在指令,只今から緊急中,17号から現場方向,以上,警視175。」
 「警視175,現場方向。警視庁了解。以上,警視庁。」

 現場に着くと既に交番の自転車が到着し,すぐに現場はパトカーでごった返した。
 「なんだなんだ。何で嫌がるんだ。面倒掛けさせんな。」
 忍込が若い不審な男に叱り付けた。
 「うちの一家じゃ,職質は拒めっつー方針なもんで。」
 「脅してんだな。店先でんな事口走ったら,この時代だかんな。分かってんのか。」
 忍込は男を睨み付けた。
 「マルBの恐喝行為で。今時間取れ。現逮でPS回せ。」
 警部補が忍込を支持し,現場は一層慌ただしく為った。男に手錠をはめ,自ら隊のパトカーに乗り込んだ。
 パトカーは,すぐ近くの万世橋署に向かって走って行った。
 忍込は警視182に乗り込んで居た巡査長の肩を撫でた。
 「よく呼んでくれたな。ひるんで面倒臭いっつっちゃうのが,一番まずいんだ。これからも応援呼ぶの怠るなよ。自分等で対処出来ないのは最近の事案ではしょうがないんだから。繰り返すけど,応援はこれからも呼びまくれよ。」と言った。

 その後,逮捕された男が口走ったのはでたらめで,サラリーマンに過ぎない事が分かり,万世橋署から釈放された。
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